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2008年08月13日

南アルプス しらびそ峠 自転車の旅(5)

田口峠

群馬県の南牧村と長野県の臼田町を結ぶ田口峠。南牧村の勧能から馬坂川に沿ってほぼ一車線の舗装の峠道を上っていくと、じきに県境の標識が見えてきます。県境付近に位置する峠であれば、県境が最高地点(峠)であることが多いのですが、田口峠はまだまだ先。ここから先も急な坂を延々と上らされます。ここからが長いのです。

梅雨明け宣言が出た7月19日(土)。猛暑。それでも枝葉が頭上にまで覆い被さるように伸びる旺盛な木々が強烈な日差しを遮り、辛い上りをサポートしてくれます。行き交う車も1,2台。心細くなるくらいの静寂。熊鈴が欲しくなるような心境です。

初日は、距離70kmで標高差は1,030m。午後3時前後の小淵沢行きに乗れるように臼田駅に着けば、今日の仕事は終わりです。足慣らしのつもりで意識してゆっくり目のペースで走り、12時30分に田口峠着。

「知に働けば角が立つ。情に棹を差せば流される」と夏目漱石は山路を登りながら考えたようですが、凡人の私も坂道を上りながら頭の中に次々に現れるのは浮き世の雑事。肉体はいつもとは比べものにならないくら非日常の世界にいるのですが、頭はまだ日常から抜け出せません。

こういう時に峠は実に都合がよいもので、ひとつの区切りをつけてくれるのです。仕事、家族、その他諸々のしがらみもここまで。ここから先はシクロスポルティフに思いを馳せた1977年の夏にフラッシュバック。余計なことは考えず、こけないように自転車のコントロールに全神経を集中して下り坂を一気に走るのでした。

タグ :田口峠

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